調布市議会議員 内藤 美貴子事務所、内藤みき子、公明党
調布市議会議員 内藤 美貴子事務所、内藤みき子、公明党

議会報告

議会報告

平成28年第4回(12月)定例会
[2016-12-06]

今議会は11月30日より開会し、6日に一般質問いたしました。
今回は、毎年12月3日から9日までは障がい者週間ということもあり、28年4月より施行された障害者差別解消法に関する質問で、「インクルーシブ教育システムの構築について」と「障害者の理解・特性に応じた取り組みついて」の大きく2点の質問をいたしました。

1.インクルーシブ教育システムの構築について
(背景)
平成26年1月、日本は障がい者の権利に関する条約を批准し、学校教育においては、インクルーシブ教育のシステム構築に向けた取り組みが推進されました。その背景には、近年、少子化傾向にある中で、支援が必要な児童生徒が増加しており、特別支援教育の充実が一層重要となっています。
インクルーシブ教育とは、インクルーシブ教育は誰をも排除しない教育、違いによって分けない教育、様々な違いをもった子どもたちが、共に学びあえるような学校を権利として保障しようとするものです。
これからは、障害のある子どもを含むすべての子どもに対して,子ども一人一人の教育的ニーズにあった適切な教育的支援を,「通常の学級において」行なわれるようになりました。
インクルーシブとは、全てを受け入れるという考え方です。
学校教育法も平成25年8月に一部改正され、これまでは障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという基準の仕組みが改められ、本人の教育的ニーズや本人・保護者の意見、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みへと改められました。
また、平成28年に施行された障害者差別解消法により、学校においては、一人一人の障害の状態やニーズに応じて「合理的配慮」の提供や「基礎的環境整備」といって、学校の建物のバリア、適切な教材の確保、専門性のある指導体制の確保など、同じ場所で共に学びあうために必要不可欠な教育環境を整備していくという特別支援教育の方向性が示されました。そこで、5点にわたり質問いたしました。

☆合理的配慮の共通理解について
(背景)
調布市の通常な学級において特別な支援が必要な児童・生徒数は、平成27年度時点で894人、全児童数に対して8.7%となっています。
学校生活においては授業やテスト、行事、給食、友だちとの関わりなど、様々な 場面での困りごとが想定されます。
どのような配慮が必要になるのかは、子どもの特性や困りごと、学校生活上の場面や環境によっても異なります。
子どもたちが学校で学びやすくなるために、一人ひとりに合わせた配慮を考え、工夫して、それを実現していくというのが学校における「合理的配慮」です。
(事例) 一人ひとり、場面や状況に応じて必要な配慮は異なりますので、保護者と学校で一緒に相談しながら必要な配慮について合意形成していくことが求められています。
調布市では、平成25年度から「インクルーシブ教育システム構築モデル事業」が調和小学校において3年間にわたり実施されました。調和小学校では、「障害のある児童に対する合理的配慮の効果」について年2回の検証委員会や年10回の校内の検討委員会で検証が行われています。
また、3年間の研究の成果について全小・中学校の教員及び保護者・地域に啓発リーフレット等を配布して、教員及び学校や地域に対して対象児童への合理的配慮に関する理解啓発が行われています。こうした取り組みには高く評価させていただきます。
しかし,モデル事業としての検証結果では、障害のある児童に対しての合理的配慮の実践については課題が残り,対象児童に対してより適切な支援や配慮を検証していく必要性があるといわれています。
障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として、先ほど申しましたように「合理的配慮」の提供については、その判断基準が難しいという現状もあります。

(問)モデル校で取り組まれた対象児童に対しての合理的配慮の検証を今後はどのように充実させていくのか。
(問)現在必要とされている「合理的配慮」は何か、何を優先して提供する必要があるか等、関係者間での共通理解を図る必要があると考えるが、見解は。

☆就学前から小中高までの一貫した支援体制について

(背景)
特別な支援を要する児童・生徒に対し、就学前から義務教育及び高校までと一貫した支援体制を図るためには、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報を必要に応じて関係機関が共有し活用することが必要です。
調布市では、就学前には就学支援シートや子ども発達支援センターで配布されている「iファイル」が活用されています。
就学支援シートについては、それをもとにして保護者等と情報を共有して個別の教育支援計画や個別指導計画が作成されます。
それぞれの目的ですが、個別の教育支援計画は、児童・生徒のニーズを正確に把握し、乳幼児期から中学校卒業までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを目的に作成しているもので、これは教育のみならず福祉や医療などの関係機関との連携協力が重要になっています。
個別指導計画は、教育課程や指導計画に則り、個人ごとの目標・指導、内容や方法などを設定した指導計画を目的に作成されます。
しかし、それぞれの計画の作成状況は、通級指導学級に通っている児童に対しては、どちらも90%以上の作成率となっていますが、実際に就学支援シートが提出されているのは昨年度で僅か137人です。
小学校においては、支援が必要な児童が894人ですから約15%しか提出されていないことになります。しかも、提出されたものの、活用については学校によっても担任によってもまちまちであるとも聞いています。

(問)iファイルについては、シートの改善について検討がされているようですが、実際に就学後の計画に有効活用されているのか。
(問)一人一人の障害の状態やニーズに応じた「合理的配慮」を提供していくためには、移行期からの引継ぎにしっかり活用していくことが重要です。それぞれの計画の活用について、今後はどのように取り組んでいくのか。
(問)通級指導学級に通っていないけれども、支援が必要な児童は小学校全体で565人と把握されていますが、個別の教育支援計画の作成率が29.4%、個別指導計画の作成率が49.9%と通級に通っている児童の作成率に比べて低いということに対して、どのように推進していくのか。

☆通級の巡回指導について

(背景)
通級による指導は、小・中学校の通常の学級に在籍している言語障害、自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、難聴、弱視など比較的軽い障害の子供がほとんどの授業を通常の学級で受けながら、障害の状態などに応じた特別な指導を通級指導教室で受ける形態です。
調布市の通級指導学級は、情緒障害等通級指導学級が小学校で4校、中学校で2校。難聴障害及び言語障害通級指導学級が小学校で1校に設置されています。
通級で指導を受けている児童数の現状をみますと、東京都が調査した26年度では東京都が18.4%に対し、調布市は31.8%と都の平均に比べて非常に高いということがわかります。
中でも、情緒障害等通級指導学級に通う児童数が平成27年度は251人で、平成22年度の約4倍。
平成17年度と比較するとこ、この10年で11.4倍と急増しており、ちなみに28年度は325人とさらに74人も増加している現状があります。
東京都では、このような現状から小学校において平成30年度までに、通級による指導をこれまでは「子どもが動く」から「教員が動く」という巡回指導に移行するとしました。
これにより、通級のある学校に通うためには送迎をしなければならず、共働きの家庭などはボランティアの手配や調整などが大変負担になっていたところですが、こういった負担が解消されるようになります。
調布市においても全ての小学校に特別支援教室を設置し、27年度から巡回指導が試行実施され28年度から本格実施されました。そこで、3点にわたり質問。

(問)今後も特別な支援を必要とする児童・生徒数の増加が予想されているなかで、指導場所となる特別支援教室の計画的な整備が必要ではないか。
(問)学校によっては、近年、相続等により周辺がどんどん農地などが宅地化されたことで児童数が増加しており、そのうえ、今後も特別な支援を必要とする児童・生徒数も増加していることから、特別支援教室の確保が困難とも聞いています。
そのため、今日は応接室、今日は多目的室と、その日に空いている部屋を使っているのが実態で、これでは集中できないと思います。
教室を増築するにもどこにもスペースはないというのが現状です。
しっかり落ち着いた環境の中で学習ができるよう、対策を講じるべきではないでしょうか。
(問)保護者からは「これまでは通級がある学校に送迎をする際に、通級担任と毎週会えて話や相談をする機会があったが、巡回指導の場合には保護者と通級担任が直接会って話す機会が少なくなるので相談や連携が取りづらくなるのでは」という心配の声が寄せられています。
巡回指導員と保護者との面談の機会を設けるなど、連携が図れるようにしていただきたい。
見解は。

☆4つ目の相談支援体制について

(問)就学時に今後の就学先が決定された場合でも、その後の成長によって発達の程度や適応の状況が変わってくる場合があります。
子どものニーズに合った就学先の変更についても柔軟に対応できるよう継続的な相談支援体制が必要ではないか。本人・保護者に対する相談支援体制について、どのようになっているのか。

☆5つ目の教員の専門性の向上について
(背景)
学校教育法において、特別支援学校の教員は、教員免許のほかに特別支援学校の教員免許を取得することが原則とされていますが、特別支援学級や通級による指導については、小学校・中学校の教員免許を持っていれば担当することができます。
しかし、通常の学級において、発達に障害等のある特別な支援が必要な児童・生徒が急増していることから、特別支援教育に関する知識・理解を含めた教員の指導力向上が必要であります。

(問)全ての教員を対象に研修の機会をもつべきではないか。
(問)教員の指導力を向上させるうえで、他の自治体での様々な実践事例の収集にも努めていただき、教員間の交流の場を持つべきでないか。
(問)障害のある子どもは災害時にパニックを起こすことも予想されますが「合理的配慮」の観点から個別に対応できるよう知識の習得を図るべきではないか。

2.障害者の理解・特性に応じた取り組みついて
☆障害者差別の解消に向けた職員への取り組みについて
(背景)
平成28年4月に施行された障害者差別解消法は、我が国が障害者権利条約を締結する際の国内法の整備の一環として定められたもので、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を社会において推進することを目的に制定されました。
行政機関等は、障害者差別の解消に率先して取り組む主体として、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供が法的義務とされています。
私は、この法律が制定された直後の25年12月議会で「合理的配慮の提供」が義務化されたことについて、全庁的な意識改革が必要である。
しっかり取り組むべきと訴えてまいりました。

(問)その後、職員研修も実施されているようですが、職員に対してはどのような取り組みを行ってきたのか。
(問)この法律には、取組に関する対応要領の策定について定められており、東京都では職員向けの対応要綱が定められています。
それを補完するものとして、東京都障害者差別解消法ハンドブックが作成されています。
このハンドブックには、日々の活動の中で配慮すべき事項や対応の具体例、様々な障害の特性についても分かりやすく説明されています。
(問)本市では職員対応要領については作成されているのか。
障害を正しく理解し、障害特性に応じた対応が行えるよう、ハンドブックの活用あるいは職員対応マニュアルの作成 が必要ではないか。

☆読み書き(代読・代筆)情報支援の職員研修について
(背景)
私たちは、情報の八割を、目を通じて得ているといわれております。日常生活を送るうえで、「読むこと」と自己の意思を表すための「書くこと」は必要不可欠の行為といえます。
しかし、視覚障害者や視力が低下した人や高齢者などには、これが十分に保証されているとは言えない状況にあります。
読み書きが困難な状況にある高齢者や障害者は、市役所から郵送された書類を郵便物の中から仕分けして、その文書の内容を把握することにも困難が生じます。
そこで必要となるのが、目の不自由な人を対象とした代筆・代読などの「読み書き支援」の充実が必要であります。
平成23年7月に成立した改正障害者基本法に読み書き支援サービスを行う人の養成、派遣を国や自治体に求める規定が盛り込まれました。
さらに、平成25年4月に施行された「障害者総合支援法」の「地域生活支援事業実施要綱」に自治体が行う事業が掲げられていますが、代筆、代読が手話通訳や点訳とともに必須事業として位置付けられました。高齢者や障害者など読み書きに不自由のある方に、読み書き(代読・代筆)支援を公的サービスとして位置づけて、品川区や三鷹市など、地域の実情に応じた形で実施する自治体が徐々に増えてきました。
また、代筆、代読を行う人を養成するための講習会が、自治体や金融機関などで徐々に広がっています。
今後、潜在的なニーズを含めて、読み書きが困難な方への支援の必要性は一層高まると考えられます。
先ほどご紹介をした東京都障害者差別解消法ハンドブックの「相談・説明」の箇所で読み書きに関する具体例が示されています。
代筆、代読といっても単に言われたことを書いたり、棒読みしたりするだけでは、十分なコミュニケーションが図れません。
読むこと、書くことへの判断や配慮が求められます。
また、個人のプライバシーに関わる内容も扱うので守秘義務についても徹底しなければなりません。
 先日、「読み書き(代読・代筆)情報支援員養成講習会」などを主催しているNPO法人の方々とお会いしました。
お一人の方は視覚障がい者の方で、読み書きすることは生きることであり、情報のバリアフリー、情報提供におけるユニバーサルデザインを検討すべきと考えており、文字の読み書きに困難のある高齢者や障害者の読み書きをする権利、読書権を保障する社会的な仕組みづくりを推進されていると伺いました。
読み書き支援サービスを行う人の養成講座で使用するテキストには、利用者が何をほしい、何を必要としているかの的確な把握。
書かれている内容を明確に伝わるよう読む技術。
文章、様々な図や表などの内容を最低限理解し言葉で伝える方法。
署名、押印をできる限り利用者にしていただく技術などを身に着ける等、読み書きに必要な知識や技術が記述されています。

(問)読み書きを行う際の必要なスキルを身に付けていただくためにも是非、市職員を対象に読み書き(代読・代筆)情報支援の講習や研修会を実施すべきでは。



 




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