議会報告
議会報告
令和元年第2回(6月)定例会
[2019-06-14]
今議会は6月7日に開会し、6月14日に一般質問いたしました。
今回も市民の皆様から寄せられた声をもとに、「中高年の引きこもり対策」について、「市内事業者への支援」について、「災害対策の取組み」についての大きく3点質問いたしました。
1.「中高年の引きこもり対策」について
(背景)
5月28日にスクールバスを待つ小学校の児童らが襲われるという事件の容疑者は51歳で、10年以上引きこもり状態の生活を送っていたことも報じられましたが、その直後の6月3日には、川崎事件を見て、ひきこもり状態にあった息子に不安を感じ、元エリート官僚が44歳の長男を殺害するという事件も起きました。
国は、40から64歳までの中高年層を対象にした全国規模の調査を実施し、中高年の引きこもり状態の人は推計約61万人で、若年層の引きこもり約54万人の推計を上回っていることが明らかになりました。ひきこもり期間では5年以上が約半数を占め、10年を超える人は約3割に上っていることからも、引きこもり期間の長期化も鮮明になりました。
引きこもり状態の子や面倒を見る親も社会から孤立しやすい傾向にあることなど、複合的な課題が重なっている「8050問題」の深刻さが裏付けられました。そこで、本市の取り組みについて、質問させていただきます。
☆相談体制の整備について
(背景)
本市の地域福祉計画の47ページには、「中高年の引きこもりの子を抱えた高齢者の問題など、複合的な福祉課題を抱えている世帯が増加傾向にあり、その対応が課題になっていると記述がされている。引きこもりのサポートは、若者の就労支援に重きが置かれている場合が多く、中高年の世代を含めた相談支援体制を整備していくことが求められている。そこで、その取り組みについて、様々な視点から問う。
(問)和歌山県田辺市では、2001年に全国に先駆けて専門の相談窓口を開設し、官民で支援ネットワークを構築して、積極的な支援を行っている。孤立する前に、訪問支援から就労まで、切れ目のない相談・支援体制の確立が必要ではないか。
(問)公明党の強い主張により、全国に2009年から「ひきこもり地域支援ステーション」が設置されているが、神奈川県相模原市のステーションでは、ホームパージやパンフレットには対象者を「18歳から64歳」と明示し、中高年が相談しやすい環境づくりを進めている。本市の引きこもりに関する相談は、心の健康支援センターで行っているようだが、相談窓口の周知、相談者の対象年齢も明示するなど、中高年の本人やご家族が相談しやすい環境づくりを進めるべきではないか。
(問)東京都では、都議会公明党の推進で、引きこもりの訪問相談を行う「引きこもりサポートネット訪問相談」の対象年齢を35歳以上の人に拡大し、6月3日から各区市町村の窓口で受付を開始するとされている。本市では、心の健康支援センターが相談窓口になっているが、市民への積極的な周知が必要ではないか。また、本市の訪問支援について、中高年の引きこもり状態の人は、複合的な課題が重なっていることから、今後は、地域福祉コーディネーター等との連携による訪問支援体制に充実させていくことが必要ではないか。
☆家族会への支援について
(背景)
引きこもりが長期化してしまうと、子どもにどう接したらよいのか。育て方が悪かったのではないかと自らを責め、SOSの声をあげられない本人や家族も多いと言われている。
同じ悩みを持つ家族が相談したり、専門家からアドバイスをいただく機会を設けたり、様々な情報交換や交流を図るなど、家族と本人が社会から孤立することを防ぐためにも家族会の存在は重要である。
(問)家族会の立ち上げにご努力いただいていると聞いているが、立ち上げへの支援、そのうえで相談会や研修会、場所の確保や運営等も含めて家族会への支援を行っていただけないか。
2.市内事業者への支援について
☆役務の入札・契約制度についてお伺いいたします。
(背景)
地方自治体が行う公共調達には「建設工事」をはじめ、「役務」や「物品購入」など多岐に渡っており、入札・契約制度も各自治体によって様々だと聞いている。
「建設工事」は29業種があり、校舎の増築工事や道路の舗装工事、体育館の空調工事などが発注され、「役務」は、公園清掃や建物管理、植樹帯の管理などが発注されている。
調布市では、建設工事において、市内事業者の受注機会の拡大や育成支援の強化を図るため、平成28年4月から、制限付き一般競争入札実施基準について、これまで時限的な緩和措置から本則を改正し、市内の建設事業者が入札に参加できるよう範囲が拡大された。
一方、建設工事以外の「役務」などの契約については、建設工事のような実施基準がなく、入札結果を見ても市内事業者の優先的に発注しているのかが、わかりずらい状況である。
(問)現在、公園清掃や建物管理などの役務について、どのような方法で入札・契約手続きを行っているのか。市内事業者については、優先的に発注しているのか。
(問)立川市では、「役務の提供に係る委託」として、公園清掃や建物管理などについても、入札に参加できる範囲を入札公告や基準などから、市内事業者に優先的に発注していることを明確に確認することができる。本市でも、「役務」などの公共調達について、立川市のように、市内事業者が優先的に入札参加するようにすることや、その状況を確認できるように、入札・契約制度の改善を図るべきではないか。
☆「ものづくり中小企業への支援」について
(背景)
日本の全企業数の9割を中小企業が占め、雇用の7割を創出されている。調布市の平成26年7月現在の市内の中小企業は2547社で、全企業の約99%を占めている。中小企業が元気になることが日本経済の持続的な発展に不可欠であることから、資金繰りや税負担の軽減、賃上げや設備投資の助成制度など、様々な支援制度の充実が図られている。しかし、“そもそも新しい機械を導入するのに、今の事業所では手狭なので増築したい。あるいは市内の新たな場所に移転をして事業展開していきたい”と思っても、現状は困難な状況にある。このことが、今回の質問の大きなテーマになる。
部品等の製造を行う「ものづくり中小企業」が建てられるのは、紫色の準工業地域になるが、都市計画図をみても、市内には明らかに少ないことが確認できる。(東西南北の具体的な施設名等を簡単に説明)国領では、大手企業が移転し、その土地の一部が商業地域に用途変更され、今は、イトーヨーカドーの大型商業施設やマンション等が建てられ、ここだけでも約5万ヘクタールもの準工業地域が減少している。
私が議員になった平成19年4月時点では、準工業地域の面積は186.8ヘクタールだったが、12年後の平成31年3月時点では181.6ヘクタールで、5.2ヘクタールと5万2000㎡の準工業地域が減少している実態がある。市内で新たな事業を展開し、市内で事業を続けていきたいと考えても、結果的に市外を探さなくてはならないという現状で、このままでは、市内には「ものづくり中小企業」がいなくなってしまうのではないかと危惧される。
(問) 三鷹市では、平成元年4月に「三鷹ハイテクセンター」を設立し、そこには市内20社の小規模企業が結集されている。また、日本無線株式会社三鷹製作所の閉鎖に伴い、平成28年に三鷹市がその土地の一部約2,700㎡を購入し、4区画に分けて公募型のプロポーザルを実施し、中小企業を誘致している。
市の施策として中小企業の創業環境を守り抜いていくべきではないか。市内の「ものづくり中小企業」が市内で事業発展できるような支援策を庁内あげて検討すべき。考えは。
3.災害対策の取組みについて、お伺いいたします。
☆総合体育館体育室のエアコン設置について
(背景)
地震や豪雨などの災害が相次ぐ中で、近年の異常ともいえる猛暑により、被災地では避難所の学校体育館で避難者が熱中症により相次いで救急搬送されたという事態に、全国各地で学校の体育館へのエアコン設置が進められ、本市でも、今年度と来年度の2か年で中学校の体育館に設置予定で、小学校もそのあとに設置予定になっている。一方で、調布市総合体育館や避難所となる大町スポーツ施設、災害時に活用される西調布体育館など、スポーツ施設の体育施設にはエアコンの設置が進んでいない状況となっている。
平成30年に修正された地域防災計画には、「調布市総合体育館」が災害時には「災害ボランティアセンター」として活用されることが76ページに明記されたが、この総合体育館は例年延べ約19万人の方が利用され、地下には大小の体育室がある。これまで利用者から、長年エアコンの設置を強く求められてきたが、いまだに設置はされていない。
他市の総合体育館のエアコン設置状況は、すでに設置されている自治体は11市(八王子、立川、武蔵野、三鷹、府中、町田、小平、狛江、東大和、武蔵村山、西東京市)で、調布市に隣接している自治体は全て設置。今年度に予算化された自治体は5市(青梅、小金井、日野、東村山、多摩市)で、東久留米は検討中。現段階で設置が決まっていない自治体は9市だけで、その中に調布市が含まれていますのが非常に残念。
(問)エアコンなしの体育室は、近年の異常ともいえる真夏の暑さの中、果たしてボランティアセンターとしての役割が果たせるのか。ボランティアの方々の健康や感染症への予防、ボランティアセンターとしての機能の充実という点からも、総合体育館体育室へのエアコン設置は必要ではないか。
(問)設置に当たっての財源確保も重要課題であるが、どういう助成金の活用が考えられるのか、調査は。
(再質問)
ご答弁では、総合体育館のエアコン設置は、長期休館、多額の費用などの課題があるため、大規模改修に併せて空調設備の設置を検討していくとのことだが、総合体育館を利用する多くの市民への熱中症対策という安全面だけでなく、全国から支援のために集まるボランティアの健康や感染症予防対策としても、ボランティアセンターとなる総合体育館体育室へのエアコン設置は必要だと考えるが、この点について、市長の考えは。
☆被災者の行政手続き支援について
(背景)
地震や台風、豪雨などの自然災害によって住宅などが被災した時に、その被害の程度を証明するための罹災証明書が発行され、被災者の生活再建のための支援金の支給や保険の請求などの公的な支援や民間の支援を受け取ることができる。しかし、近年の大規模災害では、この罹災証明書の発行に手間がかかり大混乱をしたことで、早期に発行できるシステムの導入が全国に広がり、私もそのシステムの早期導入を求めてきたが、本市では平成27年3月に被災者生活再建支援システムが導入された。
一方で、早期に罹災明書の発行が可能となったが、そもそも被災者等が申請をしなければ発行手続きを行うこともでない。
2016年4月に発生した熊本地震では、大変多くの人が家屋等に損害を受けるという状況の中で、行政書士会が被害者と行政との橋渡しになって、罹災証明発行手続きをはじめとする行政窓口の支援、自治体の実施する相談業務への支援、高齢者や障がい者、被災され方等で役所等に出向くことができない方に代わり、行政書士が申請書類の作成・手続き等の代行を行うといった申請代行をされるなど、行政や被災者の方々の支援をされた。
(問)事前に行政書士との協働関係を構築しておくことが重要。行政書士会との災害協定について早期に締結すべきではないか。
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